みなさん学生時代や社会人の副業でアルバイトをされる方も多いかと思いますが、「治験」というアルバイトをご存知でしょうか?
名前だけは聞いたことある、という方もいるかと思います。ひょっとしたら「知っているけど、怖いイメージ」という方もいるかもしれません。
治験というのは「治療の臨床試験」の略。
誤解を恐れずにいうと、新しい薬の安全性や効能などを調べるために、自分の体を提供しますよ、というもの。
そして、治験に参加した人には「負担軽減費」という、アルバイト料が支払われます。
実は今回、治験に参加してきました。
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参加の規約に「本治験で知り得た治験薬の名前、治験を依頼した製薬会社などについて第三者に公開しないこと」とあるので、そのあたりは避けて、治験というアルバイトについてご紹介したいと思います。
治験について
さて、このページを検索でご覧いただいた方は少なくとも「治験」というアルバイトに興味がある方だと思います。
ですので、一応「治験」というものについて簡単に説明させていただきますね。
治療の臨床試験(治験)
前述のとおり、治験とは「治療の臨床試験」の略です。
新しい薬が一般的に使われるようになるためには「安全性(その薬が安全であるかどうか)」「有効性(その薬の効き目はどうか)」を確かめ、その成績を厚生労働省に提出し審査・承認を得なければいけません。
そのために、あらかじめ計画された健康な人(または患者)にその薬を使ってもらい、安全性と有効性を調べる必要があります。
この試験のことを「治験」といいます。
治験ってどこで募集しているの?
さて、治験のアルバイトってどこで募集しているのでしょうか?
一般的なアルバイト情報誌ではみかけませんよね。
治験のアルバイトに参加するには、「治験モニターの募集サイト」に登録し、参加したい治験に応募するのが一般的な流れのようです。
僕は今回Twitterで知った治験に応募しました。「治験 募集」などで検索すると何社か出てきますので、どんな治験があるかはそちらで確認してみると良いと思います。
参加してみたい治験があれば、募集会社に電話やメールで申し込みを行います。
募集要項の例
今回参加したのは健康な成人男性、しかも20歳〜40歳に限られた募集内容でした。
また、
- 日本国籍をお持ちの純日本人であること
- BMIが18.5~24.9の範囲内であること
- 4ヶ月以内の治験参加歴のないこと
- 薬物、食品のアレルギーがないこと
- 大病歴、現在治療中の病気がないこと
などの参加条件があります。
肝心のアルバイト料は?
治験に興味を持つきっかけとなるのがこのアルバイト料ではないでしょうか?
というのも、実質4日間で6万円とか、1週間で8万円とか、アルバイトとしてはかなり高額な部類に入ります。
短期間で一気に稼ぎたい、という人にとっては治験はとても魅力的です。
治験のアルバイト料は「負担軽減費」と呼ばれます。
負担軽減費と言われると「えっ、こっちが払う費用?」と思ってしまいますが、これはアルバイト料と考えて問題ありません。
「負担軽減費=治験参加後に支払われるアルバイト料」です。
一般的には治験終了後に現金または振込で支払われます。事前検診があった場合は、それに応じた負担軽減費が支払われます。
今回参加したのは事前検診の受信時に3,000円、治験参加後に75,000円というものでした。
治験体験レポート
今回の治験は2泊3日の入院を2回行うもの。それと事前検診のため1日取られますので、病院にいるのは7日間となります。
それでは、申し込みから退院までを見てみましょう。
治験の申し込み
Twitterで治験の募集を見かけ、高額なアルバイト料に惹かれ(笑)応募してみました。
さすがに最初は悩みました。自分のカラダで薬を試すということで、万が一副作用が起きたらどうしようという不安がつきまといます。
メールで応募を済ませると、メールで返信がきました。
参加日程の確認と、募集要項に合っているかのヒアリングとなります。
タバコも吸わないし大病もしてないし、健康に生きてきて良かったーと思った瞬間です(笑)
数日後、審査に通った旨の電話があり、事前検診の日程を決定。晴れて治験に参加することが決定しました。でもこの時点でも実はけっこう迷ってました・・・
事前検診
事前検診は、治験に参加できるかどうかの検査と、治験についての説明、入院前日誌の説明が行われました。
検査について
検査内容は
- 血液検査
- 尿検査
- 身長・体重・BMI測定
- 血圧・体温
- 医師の問診
といった感じ。
あまり時間もかからなかったのですが、血液検査のときの看護師さんがちょっと下手で痛かった・・・
治験の説明について
治験の説明については説明資料が渡され、それを読み上げながら確認、最後に同意書にサインをして完了です。
やはり治験という性質上、疑問や不安があったらどんどん聞いてください、と言われます。また、少しでも不安があれば同意をしないでください、とも言われました。
インフォームド・コンセントというやつですね。
治験を行う者は、治験への参加者に対して、治験に先立ち、実施される試験の目的や内容について説明する義務がある。また、参加者が患者であるならば、その治療法などについてのメリットとデメリット、他の存在する治療法などを詳しく説明し、予想される最悪の帰結に関してまでの合意がなければならない。そして、十分な理解の出来た参加者本人の自由意思によってのみ治験への参加は決断されねばならない。また、いつでも参加者は自由に治験からは離脱でき、治験からの離脱に対して、今後の治療や経済的制裁などの不利益を被ることが一切ないことを保証しなければならない(間接的な強制も許されない)。
※http://ja.wikipedia.org/wiki/治験 より引用
上記の通り、同意後でも治験参加途中でも、辞退したくなったらいつでも辞退することができるそうです。(治験のスタッフさんからもそう説明されました。)
さらに途中辞退の場合でも参加内容によって再計算された負担軽減費が支払われるようです。身内に不幸があった、などの理由で途中辞退してもある程度は支払いが保証されるのはありがたいですね。
ただしその後の別の治験参加については影響が出そうですが・・・ブラックリストみたいのに載るのかな?
また、副作用などについての説明もあります。
素人目からすると薬の成分などを言われてもわからないので、実際の症例についてわかりやすく説明してくれます。
本当ならここで不安に思っていることはどんどん質問するべきなのですが、なかなかできないもんです・・・
入院前日誌について
治験開始までのあいだ、不摂生な食事をしていないか、飲酒や喫煙をしていないか、他の治験への参加や薬の服用はしていないかなどのチェックをするための日誌を書くことになります。
日誌と言っても夏休みの宿題のようなものではなく、チェックを付けるだけの簡単なものです(笑)
意外だったのが「重労働・筋トレなどの筋肉を酷使することも禁止」ということ。
こっそりやっても血液検査でわかっちゃうらしいです!
事前検診〜入院前日
この入院前までの期間は正しい生活を送ることが義務付けられます。
前述のとおり、やっちゃいけないことが結構多い!
食事制限
脂っこい食べ物(お菓子含む)は控える。
カレー、スープカレー、焼き肉、ラーメン、ポテトチップス・・・もちろんマヨネーズを使うものも避けたほうが良いとのこと。
アルコール制限
入院まではアルコール禁止!もちろん入院中はアルコールは禁止(笑)
筋肉を使うことの制限
野球やサッカー、水泳やランニング、ゴルフなどのスポーツの他、海水浴や登山、ボウリングなどのレジャー的な運動、自転車での長距離移動や筋肉トレーニングも禁止!
また、除雪やタイヤ交換など重いものを運ぶ作業も禁止だそうです。
入院初日
入院初日は17時までに来院してくださいということで、比較的のんびりと過ごしてから病院へ行きました。
最初に手荷物チェックがあります。タバコや火器の持ち込みは禁止だそう。
検査としては初日は簡単なもんで、採血を1回、採尿を1回行うだけです。
晩御飯として病院側で用意したお弁当を食べて、あとは自由時間。
実は今回治験への参加が初めてでよく分からなかったのですが、僕は「予備被験者」というグループに配属されました。
これは文字通り予備人員で、最初の採血などの結果で不適格者が出た場合に補充されるグループです。
このとき予備被験者用の部屋で待機しているのですが、隣になった人と「正直このまま帰らせてもらってもいいよね」と話をしていました。つまりまだ不安だったわけです。
予備被験者でもそれなりの負担軽減費が支払われるので、2泊3日×2回をやるより、金額少なくてもこのまま退院でいいかなー、なんて思ったんですよね。
なので、不適格者が出なければこのまま1泊してバイバイ、ということになるのですが、結果的には不適格者が出て無事に(?)被験者となることができました。
被験者になったので小部屋から大部屋へ移動となりました。8人がひとつの大部屋で過ごすのですが、みんなスマホをいじったり病院内にある漫画を読んだりと、あまり会話もなかったです。
入院とはいえシャワーも浴びることができるし、結構快適じゃん!と思っていたのですが、2日目がキツかった・・・
入院2日目
この2日目が(僕の参加した治験では)本番といって良いものでした。
朝は6時半に起床し、採尿。
朝ごはんは食べずに、9時に薬を服用し、9時から13時までの間に採血が13回!!
その間はベッドの上に座ったまま、寝転がってもいけないし寝てもいけないし、最初のうちはトイレも行っちゃダメというものでした。
ベッドはリクライニングするものなので、楽といえば楽なのですがそれでも同じ格好でじっとしているのってツラい!!
目を閉じてじっとしてると「具合だいじょうぶですか!?」って聞かれるし(副作用とか心配される)、しかも15分間隔で採血にくるからなかなか慌ただしい。
この時に役立ったのが事前にスマホに入れてた電子書籍!
Kindleで「銀河鉄道の夜」を買っていた、というより病院についてから買ったのですが、電子書籍って片手でページめくりもできるからこういうときスゴイ便利でした。
13時を過ぎると昼ごはんタイム、その後は21時までに5回の採血、結果的には1日に18回も注射されたわけです。
なかなかないですよね、こんなに注射される機会。
当然両腕フル活動で、注射の跡が痛々しい・・・と思っていま見てみたらあんまり残ってなかった(笑)でも頻繁に治験に参加して注射の回数が増えてくると注射ダコ?のようになるらしいです。ちょっと怖いですね。
退院日
退院日は多少朝はゆっくりできて7時半位に起きても間に合ったのかな?僕は6時に起きてしまい、ホールでマンガ読んでました。
退院日は初日と同じく、採血1回、採尿1回、心電図や体温を測っておしまい。
最後に軽い朝食(お弁当かと思いきやまさかのジャンクフードでした笑)を食べ、午前中のうちに退院です。
僕の場合は2泊3日×2回の治験なので、後半戦の説明などがありました。
治験は意外と大変だ
どうだったでしょうか、実際の治験体験レポート。
実はまだ後半戦が残っているんで中間報告のような感じですが、工程は同じなのでこのタイミングで公開しました。
実際に治験を体験してみて思ったのは「想像していたよりはハード」ということです。
募集内容的には「2泊3日×2回で75,000円」ということなのですが、
- 事前検診で1日
- 入院1週間前から生活に制限がある
- 注射の回数が多い!(笑)
- じっとしてるのもキツイ!(笑)
と、決して楽な内容ではありません。
また、参加すること自体に要件がありますので、それをクリアしなければいけません。
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新薬に貢献できる
ハードな仕事だなぁと思ったのと同時に、「治験」に参加する人がいるから新しい薬が承認されて世に出てくるんだなぁということも感じました。
動物での実験を経て人間で臨床試験をし、安全性と有効性を確認し世の中に出てくる。
いま病院で使われている薬も、こうやって開発されているんだということを、身を持って体験することができました。
今回の治験薬は既存の薬と同成分のものらしいのでジェネリックということになるのかな?ちょっと詳細はわからないですが、今回の治験を経て薬が発売されれば患者さんの金銭的負担も減るようになると考えれば、誰かの役に立つ仕事なんだと実感できると思います。
治験では暮らせません
金額だけみて「あれ、治験だけである程度の収入になるかも?」と思う方もいると思いますが、実は治験を受けると次の治験までに3ヶ月ほど空けなければいけません。
つまり「毎月1回治験やれば良いバイトになるぞ」というわけにはいかないのです。
そもそも毎月治験に参加できたとしてもカラダへの負担が大きいと思います・・・
治験にはさまざまな種類があるようなので、自分の参加できる範囲で試してみるのが良さそうですね。
今回の記事は個人が体験したリポートとなります。不都合があればご連絡ください。
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